← AI法務ラボへ戻る
Insight
契約レビュー法務アウトソーシング

ゲーム課金・ガチャ施策|前払式支払手段と確率表示

こんにちは。LegalAgent 代表弁護士の朝戸です。

ゲーム事業では、アプリ内通貨の発行やガチャ、アイテム販売など、さまざまな課金施策が行われています。これらの施策は売上に直結する一方で、資金決済法や景品表示法、特定商取引法といった複数の法令が関係してきます。ゲーム課金の法務では、企画としての面白さとは別に、「ユーザーから受け取るお金の流れ」と「ユーザーに見せる景品や表示」という二つの軸から施策を確認していきます。

ゲーム内通貨と前払式支払手段

ユーザーが事前に有償コインやポイントを購入し、後からゲーム内アイテムやガチャに使う仕組みは、対価を先に受け取り、価値を後から提供する形をとります。このような構造を持つゲーム内通貨は、資金決済法上の前払式支払手段に該当する可能性があります。

適用除外に当たらない自家型の前払式支払手段では、基準日(毎年3月31日と9月30日)の未使用残高が初めて1,000万円を超えた場合、原則としてその基準日から2か月以内に届出が必要です。基準日の残高がこの額を超える場合は、その残高全体の2分の1以上を保全する義務も生じます。所定の保全契約や信託など、供託に代わる方法もあります。第三者の店舗等で使える第三者型は、残高の基準とは別に事前の登録が原則として必要です。ヒットしたゲームでは有償通貨の未使用残高が想定より早く積み上がるため、企画段階から残高の推移を確認できる仕組みを用意し、届出の要否をあらかじめ検討しておきます。

発行から6か月以内に限り使用できるものなどには適用除外がありますが、消費者保護の規律までなくなるわけではありません。無償ポイントも有償分と区別して管理します。また、法定の払戻し義務が生じる事業廃止等では、「返金しない」という規約だけで義務を免れることはできません。利用規約、特商法表記、アプリ内購入画面の記載にずれがあると、ユーザーとのトラブル時に会社側の説明が成り立たなくなってしまいます。そのため、施策の設計とあわせて内容をそろえておく必要があります。

ガチャ表示の確率と景品表示法

ガチャ施策で次に確認するのは、ユーザーに示す表示と実際の仕様の関係です。排出確率やレアリティ、提供割合といった表示が実装データとずれていると、景品表示法上の問題が生じる可能性があります。表示した確率や提供条件を実際の抽選設定と照合します。少数回の抽選結果に偏りが出たことだけで表示との不一致が決まるものではありません。

また、コンプガチャのように、異なる種類のアイテムをそろえることで別の経済上の利益を提供する仕組みは、有料の偶然性を利用した販売で特定の2種類以上の異なるアイテム等をそろえた利用者へ景品類を提供する「カード合わせ」に該当すれば、景品表示法上禁止されます。この仕組みに当たるかどうかは施策の名称からは判断できないため、企画段階で、ガチャ仕様と確率表示、景品性をあわせて確認します。リリース後に仕様を変えると、すでに課金したユーザーへの説明という別の問題も背負うことになります。

イベント報酬・ランキング報酬の位置づけ

ゲームでは、イベント上位者への報酬やランキング報酬を設けることがあります。ここでの論点は、報酬がゲーム内アイテムにとどまるのか、現金や電子マネーなど換金性の高いものかという点です。報酬の中身によって、法務上の見え方が変わります。

具体的な施策にあてはめる際は、参加料の有無、偶然性や技能性の強さ、報酬原資と換金性の関係を洗い出します。特に、現金同等物や二次流通可能なデジタル資産を報酬にする場合には、賭博や資金決済、景品表示法、税務の観点から慎重な検討を要します。

未成年者課金への対応

ゲーム課金では、未成年者による高額課金が問題になりやすいです。運営会社として設計しておくべきなのは、年齢確認や購入上限、保護者の同意取得画面といった課金前の入口です。プラットフォーム側の仕組みに任せきりにすると、トラブルが起きたときに自社として説明できる対応が残らないため、自社の利用規約やヘルプ、CS対応もあわせて整えておく必要があります。未成年者の契約には法定代理人の同意が原則として必要ですが、処分を許された財産による行為などの例外もあります。年齢確認のチェック欄だけで同意の存在や民法21条の詐術が当然に認められるものではないため、取消しの可否は具体的な購入経緯を確認して判断します。

ゲーム課金・ガチャ法務に関連するサービス

資金決済法の届出判断から景品表示法上の確率表示、未成年者課金対応まで、次のサービスで支援しています。

現物カードをランダムに販売するオリパについては、オリパは違法?オンラインオリパの法規制で、賭博罪、景品表示法、古物営業法及び資金決済法の関係を詳しく解説しています。

よくある質問

ゲーム内通貨は資金決済法上の前払式支払手段に該当しますか?

該当する可能性があります。ユーザーが事前に有償コインやポイントを購入し、後からゲーム内アイテムやガチャに使う仕組みは、対価を先に受け取り、価値を後から提供する構造を持つためです。適用除外に当たらない自家型では、基準日の未使用残高が初めて1000万円を超えた場合、原則として基準日から2か月以内に届出が必要となり、残高全体の2分の1以上を保全する義務も生じます。

特定のアイテムをそろえるコンプガチャは法律上禁止されていますか?

景品表示法上のカード合わせに該当すれば禁止されます。有料の偶然性を利用した販売で特定の2種類以上の異なるアイテム等をそろえた利用者へ景品類を提供する仕組みは、景品表示法上禁止されるためです。この仕組みに当たるかどうかは施策の名称からは判断できないと考えられており、企画段階でガチャ仕様や確率表示、景品性をあわせて確認することが求められます。

年齢確認のチェック欄を設けていれば未成年者による課金の取消しを防げますか?

当然に取消しを防げるわけではありません。年齢確認のチェック欄だけで同意の存在や民法21条の詐術が当然に認められるものではないためです。未成年者の契約には原則として法定代理人の同意が必要ですが、処分を許された財産による行為などの例外もあります。そのため、取消しの可否は具体的な購入経緯を確認して判断されると考えられます。

あわせて読みたい記事

この記事と近いテーマの記事です。

Insight / 2026.10.22 越境ECの利用規約|海外消費者への販売と準拠法・管轄 Insight / 2026.10.19 国際契約の準拠法・仲裁条項|交渉の最後に残る2条項の決め方 Insight / 2026.10.18 英文契約の基本構成と読解の手順|shall・mayと責任条項の確認

このテーマに関連するサービス

法務アウトソーシング 契約レビュー、社内法務、法務体制づくりを継続的に支援します。
AI法務ラボで他の記事を見る