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法務アウトソーシング

エンタメ・クリエイター契約|権利帰属・二次利用・AI利用

こんにちは。LegalAgent 代表弁護士の朝戸です。

動画や音楽、イラストといったエンタメ・クリエイター領域の事業が広がっています。この領域では、制作された作品やキャラクターそのものが事業価値になります。制作費を払えばどの用途にも使える、という認識のずれは避けたいところです。契約では著作権の帰属を決め、予定する二次利用や改変に必要な権利を確保します。追加報酬や収益分配の条件もあわせて話し合います。「作ってもらう」「投稿してもらう」「出演してもらう」といった感覚だけで進めてしまうと、後から事業を展開しにくくなるおそれがあります。

権利譲渡と利用許諾の違い

クリエイター契約で最初に確かめておきたいのは、成果物の著作権を譲渡してもらうのか、それとも利用許諾を受けるのかという点です。譲渡であれば会社は合意した範囲の著作権を取得します。ただし、著作権法27条・28条の権利は、譲渡契約で特に掲げなければ譲渡人に留保されたものと推定されます。翻案や二次的著作物の利用を予定するなら、この点も確認します。これに対して利用許諾の場合はクリエイターに権利が残り、会社は契約で定めた範囲に限って利用できます。

どちらがよいかは、実際の事業内容によって分かれます。たとえば広告用の単発イラストであれば、契約で利用範囲を定めた許諾で足りる場合も少なくありません。一方で、キャラクターIPやゲーム素材、長期的なブランド展開に使う成果物では、広い利用権を確保するか、権利譲渡を受ける選択が必要になることがあります。

二次利用の具体的な記載

エンタメ領域の事業では、二次利用の取り決めが欠かせません。動画、SNS、広告など、当初の用途を超えて成果物を利用する場面が多いためです。利用許諾の範囲を超える用途では、追加の許諾が必要になることがあります。すでに得た権利や許諾の範囲に含まれる利用かを先に確認します。追加許諾を求めるときは、報酬や収益分配も交渉事項になります。利用媒体・地域・期間を明らかにし、どの改変まで許されるか、追加報酬が生じる場合はいつかを契約に記載します。

著作者人格権と改変

著作権を譲渡してもらった場合でも、法律上、著作者人格権は譲渡できません。そのため、会社側で成果物を編集・加工したり、AIで再生成したりするときは、クリエイターとの間で著作者人格権を行使しない合意(不行使特約)を検討することがあります。

ただし、不行使特約を交わしたからといって、クリエイターの名前や作品性を大きく損なう改変を自由にできるという理解は適切ではありません。特にイラストレーターや音楽家、作家などは、作品の改変に対して強い関心を持っています。そのため契約では、どの範囲の改変を自社で行えるか、事前の承諾が必要な改変は何かを具体的に定めておくと、関係が安定しやすくなります。

AI利用の契約上の明示

最近は、クリエイターの成果物をAIの学習データやAI生成に利用するかどうかが、実務上の論点になっています。イラスト、音声、文章など複数の素材をAIに入力し、類似素材を生成するケースが増えているためです。クリエイターが、自身の作風や声の意図しない再利用に懸念を持つ場合もあります。

AI学習に著作権者の許諾が必要かは、著作権法30条の4の要件などに照らして判断します。情報解析等の非享受目的でも、必要な限度や権利者の利益を不当に害しないことなどの条件があります。契約上の制限や秘密保持義務、生成物の利用による侵害は別に確認します。会社側でAIによる利用を想定している場合には、契約書の中で学習利用や生成利用、第三者提供の可否をはっきりと明示すべきです。事前の説明なくAI利用を進めてしまうと、契約関係だけでなく企業のレピュテーションにも大きな影響を与えるおそれがあります。

フリーランス法上の発注者の義務

クリエイターとの契約では、権利処理と並んで、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、2024年11月施行)への対応も外せません。まず、従業員を使用しない個人など、受託者が同法の対象に当たるかを確かめます。対象となる業務委託では、事業者である発注者に取引条件を書面又は電磁的方法で直ちに明示する義務があります。また、発注者が同法の特定業務委託事業者に当たる場合、報酬は原則として給付を受領した日から60日以内のできる限り早い支払期日を定めます。検収を遅らせても、この支払期日の起算日が当然に後ろへずれることはありません。所定の発注者による1か月以上の委託では買いたたき等の禁止が、6か月以上の継続的な委託では、例外を除いて中途解除や不更新の30日前予告などが適用されます。

契約書の条項だけを整えても、発注書の運用や支払期日の管理といった実務が追いついていなければ意味がありません。契約書の内容と日々の発注フローをセットで見直しておくことが、制作物を使い始めた後に、権利や支払条件を確認し直す負担を減らせます。

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