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法務アウトソーシング契約レビュー法務における生成AI活用法

議事録のドラフトを作る・整える|生成AIの定番の使い方

こんにちは!Legal Agent 代表弁護士の朝戸です。

会議のメモから議事録を作る作業は、地味に時間がかかります。たとえば、取引先との契約条件をすり合わせる打合せに法務が同席した場面を思い浮かべてみてください。損害賠償の上限をどうするか、検収期間を何日にするか、再委託を認めるかどうか。その場では活発に議論が進みますが、終わってメモを見返すと、走り書きと言い回しのばらつきだけが残っていて、「結局、何が決まって、誰が何をいつまでにやるのか」がすぐには分からない、ということがよくあります。

議事録は、後から「言った・言わない」を防ぐための記録でもあります。特に契約交渉の議事録は、後日の条件確認や、社内での意思決定の根拠として参照されることがあり、決定事項と宿題が正確に残っているかどうかが、後の手戻りを大きく左右します。

生成AI(ChatGPT、Claude、Geminiなど、文章を理解して文章で答えてくれるAIサービスの総称です)は、こうした走り書きのメモを、整った議事録の形にまとめるのが得意です。ゼロから清書するより、たたき台を整えてもらう方がはるかに速く、生成AIをはじめて使う方にとっても始めやすい使い方だと考えています。この記事では、議事録づくりに生成AIを使うコツを、法務の場面に沿って整理していきます。

この記事で分かること

この記事では、メモから議事録を作る頼み方、読みやすい形に整えるコツ、サンプルプロンプト、よくある失敗、そして秘密情報の扱いや人による最終確認といった議事録特有の注意点を整理します。会議に同席することの多い法務担当の方を想定しつつ、初心者目線で進めていきます。

走り書きを整った形にしてもらう

会議中のメモは、箇条書きと言い回しがばらばらなことが多いです。発言の順に書きとめただけのメモや、矢印や略語が混じったメモを、そのまま議事録として配るわけにはいきません。

そこで、メモをそのまま生成AIに渡し、「議事録の形に整えてください」と頼むと、決定事項とToDoが切り分けられた形になります。たとえば、契約交渉の打合せメモであれば、「損害賠償上限は直接損害に限定する方向で合意」「検収期間は14日で先方が持ち帰り」「再委託の可否は次回までに双方で社内確認」といったように、合意できた点、保留になった点、宿題が整理されて出てきやすくなります。

ゼロから書き起こすと、文章を組み立てること自体に時間を取られます。たたき台を整えてもらい、人が事実関係を確かめて仕上げる、という分担にすると、品質とスピードを両立しやすいと感じています。

項目立てを指定するとそろった議事録になる

議事録は、決まった項目立てがあると格段に読みやすくなります。日時、出席者、議題、決定事項、宿題(担当・期限)といった形をあらかじめ指定しておくと、毎回そろった体裁の議事録になり、後から見返すときにも探しやすくなります。

特に法務がかかわる会議では、「決定事項」と「保留・持ち帰り事項」を分けておくことが大切だと考えています。契約交渉では、その場で確定したことと、社内に持ち帰って確認することが必ず混在します。両者が同じ欄にまとまっていると、確定していない条件をすでに合意したものと誤解してしまうおそれがあります。「決定事項」「保留事項(誰が・いつまでに確認するか)」を分けて出力させると、こうした取り違えを防ぎやすくなります。

宿題については、担当者と期限を必ず明記させることが大切です。「先方に確認」とだけ書かれていても、誰が確認するのかが曖昧だと、結局だれも動かないということが起こりがちです。

サンプル:メモから議事録を作る(基本形)

まずは、項目立てを指定してメモを議事録に整える基本形です。

次の会議メモを、議事録の形に整えてください。
以下の項目立てでお願いします。

■ 日時・場所
■ 出席者
■ 議題
■ 決定事項
■ 保留・持ち帰り事項(だれが・いつまでに確認するかを明記)
■ 宿題(担当者・期限を明記。不明な点は「要確認」と記載)

事実として書かれていないことは補わず、不明点は「要確認」としてください。
発言者が特定できる部分は、発言者を併記してください。

【ここに会議メモを貼り付け】

「書かれていないことは補わない」と一言加えておくと、生成AIが推測で事実を作ってしまう(これをハルシネーションと呼びます)のを防ぎやすくなります。

サンプル:契約交渉メモを論点ごとに整理する(応用形)

契約交渉のように論点が多い会議では、時系列の議事録に加えて、論点ごとに状況を整理したものがあると、社内共有がしやすくなります。

次の契約交渉メモを、契約条件の論点ごとに整理してください。
出力は、論点 / 当社の希望 / 先方の主張 / 現時点の着地(合意・保留・継続協議) / 次のアクション の表形式でお願いします。
・メモに書かれていないことは推測で補わず、不明な点は「メモに記載なし」としてください。
・金額・日数・期限などの数字は、メモのとおりに正確に転記してください。

【ここに契約交渉メモを貼り付け(社名・個人名は伏せる)】

論点ごとの一覧にしておくと、次回の打合せに向けた準備や、上長への報告にもそのまま使いやすくなります。

よくある失敗

ここで、議事録づくりでありがちな失敗を挙げておきます。

ひとつめは、生成AIが事実を補ってしまうことに気づかないまま配ってしまうことです。生成AIは、文章としての自然さを優先するため、メモに書かれていない経緯や結論を、それらしく書き足してしまうことがあります。たとえば、メモには「損害賠償は継続協議」としか書いていないのに、議事録では「損害賠償の上限を直接損害に限定することで合意した」と書かれてしまう、といった具合です。決定していないことが決定事項として残ると、後の交渉や契約内容に深刻な影響を及ぼしかねません。出力された決定事項は、必ず元メモや出席者の記憶と突き合わせて確認することが大切だと考えています。

ふたつめは、数字や固有名詞の取り違えです。「14日」と「40日」、「税込」と「税抜」、相手方の社名や担当者名などは、生成AIが取り違えても文章としては自然に読めてしまうため、見落とされやすい部分です。金額・日数・期限は、一覧にしたうえで一つひとつ原資料と照合することが大切です。

最後に見落とされやすいのが、ニュアンスのある発言を断定的に丸めてしまうことです。「前向きに検討したい」という発言が「合意した」と整理されてしまうと、相手の意図とずれた記録になります。確定したことと、意向の表明にとどまることは、議事録上も区別しておくことが望ましいと考えています。

議事録の型を社内でそろえる

議事録づくりに生成AIを使うなら、項目立てや書き方の型を社内でそろえておくと、効果がさらに高まると考えています。

会議ごと、担当者ごとに議事録の体裁がばらばらだと、後から探すときにも、内容を比べるときにも手間がかかります。決定事項と保留事項を分ける、宿題には必ず担当者と期限を書く、数字は原資料と照合する、といった共通の型を決めておき、それを生成AIへの指示文(プロンプト)としても使い回すと、だれが作っても一定の品質の議事録になりやすいです。

契約交渉のように繰り返し発生する会議については、専用の項目立てを用意しておくと、毎回ゼロから考えずに済みます。型を会社の知識として残していくことが、議事録作成を安定させる近道だと感じています。

使うときの注意点

  • 議事録は記録です。生成AIが事実を補ったり脚色したりしていないか、決定事項・保留事項・宿題のそれぞれについて必ず確認してください
  • 決定事項や金額・日数・期限などの数字は、出席者の記憶や元メモと突き合わせて確認することが大切です
  • 会議内容に秘密情報や個人情報が含まれる場合は、入力してよいかをあらかじめ確認し、必要に応じて社名・個人名などを伏せてから渡してください
  • 生成AIが作るのはあくまでドラフトです。配布や保存の前には、必ず人が最終的に内容を確認することが大切だと考えています

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