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議事録のドラフトを作る・整える|生成AIの定番の使い方

こんにちは。LegalAgent 代表弁護士の朝戸です。

会議メモから議事録を作成する作業は、実務において思いのほか時間を要します。取引先との契約条件を協議する打合せに法務が同席した場面を思い浮かべてみてください。損害賠償の責任範囲や金銭的な上限、検収期間、再委託の可否など、その場では様々な論点が話し合われます。しかし終了後にメモを見直すと、走り書きや表現のばらつきが目立ち、「何が合意され、何が未決で、誰がいつまでに対応するのか」が直ちには把握しにくいことが少なくありません。

契約交渉の議事録は、後日の条件確認や社内決裁の根拠として参照される大切な記録です。決定事項と未決事項が正確に残されているかどうかが、その後の実務の手戻りを左右します。なお、ここで扱う議事録は日常の打合せや契約交渉の記録を指しており、会社法上で記載事項が厳格に定められている株主総会議事録や取締役会議事録とは位置づけが異なります。

文章の作成を得意とする生成AI(ここではChatGPT、Claude、Geminiなど文章作成に用いられるサービスを想定しています)は、こうした走り書きのメモを整理されたドラフトへまとめる用途に適しています。ゼロから文章を起こすよりも初稿を素早く用意できるため、日常業務に取り入れやすい活用法の一つです。

メモから合意事項と宿題を読み取る

会議中のメモは、記録の詳しさや言い回しがそろっていないことがあります。参加していなかった人にも分かるように、合意した点と持ち帰った点を明示します。

メモを生成AIに渡して議事録の体裁への整理を指示すると、合意事項と宿題を切り分けた骨格を作りやすくなります。たとえば契約交渉のメモであれば、「賠償の範囲を直接損害に限定する方向で合意」「検収期間を14日とする案は先方が社内持ち帰り」「再委託の可否は次回までに双方が社内確認」といったように、合意した事項、未決の保留事項、今後の対応事項に整理して提示させることができます。なお、損害賠償の範囲の限定(直接損害への限定など)と金銭的な賠償上限額の設定は別個の論点であり、相手方が持ち帰った14日の検収期間案も未確定の保留事項として正確に区別して残します。ゼロから書き起こす手間を省き、AIが整えたドラフトをもとに人間が事実関係を確認して仕上げる分担を行うことで、文章を組み立てる負担を減らし、元メモとの照合に時間を使えます。

議事録の下書きを依頼するプロンプト

議事録は統一された項目に沿ってまとめると、後から確認する際にも内容を把握しやすくなります。特に法務が関わる打合せでは、「確定した決定事項」と「持ち帰り・保留事項」を明確に分けておくことが大切です。交渉の場では確定事項と社内確認事項が混在しやすいため、双方が同じ欄に記載されていると、合意前の条件を確定事項と読み違えるおそれがあります。

また、今後の宿題については担当者と期限を明記させることが大切です。指示文の基本形は次のようになります。

次の会議メモを、議事録の形に整えてください。以下の項目立てでお願いします。

■ 日時・場所 ■ 出席者 ■ 議題 ■ 決定事項 ■ 保留・持ち帰り事項(だれが・いつまでに確認するかを明記) ■ 宿題(担当者・期限を明記。不明な点は「要確認」と記載)

事実として書かれていないことは補わず、不明点は「要確認」としてください。発言者が特定できる部分は、発言者を併記してください。会議メモは次の行に貼り付けてください。【ここに会議メモを貼り付け】

「書かれていないことは補わない」と明示して、推測による書き足しをしないように指示します。ただし、その指示を入れても誤りは生じ得るため、出力後の照合は欠かせません。

複数の論点を扱う契約交渉では、論点ごとの表も作れます。未決の項目がどれかを示しておくと、社内報告や次回交渉の準備に使いやすくなります。

次の契約交渉メモを、契約条件の論点ごとに整理してください。出力は、論点 / 当社の希望 / 先方の主張 / 現時点の着地(合意・保留・継続協議) / 次のアクション の表形式でお願いします。
- メモに書かれていないことは推測で補わず、不明な点は「メモに記載なし」としてください
- 金額・日数・期限などの数字は、メモのとおりに正確に転記してください

契約交渉メモは次の行に貼り付けてください。【ここに契約交渉メモを貼り付け(社名・個人名は伏せる)】

事実の補完や数値の誤認への対処

最も注意したいのは、指示文で補完を禁止していても、AIが自然な文章の流れを作るために未記載の経緯や合意を創作してしまう点です。メモ上は「損害賠償は継続協議」とあるにすぎないにもかかわらず、「直接損害に限定することで合意」といった記載に書き換わってしまうと、後の契約交渉に重大な混乱を招きます。決定事項や対応担当者、期限は必ず元のメモに根拠があるかを確認し、不明な点は推測で埋めずに「要確認」として扱う姿勢が欠かせません。

次に、数字や固有名詞の取り違えです。「14日」と「40日」、「税込」と「税抜」といった数値の相違は、前後の文脈が整っていても意味を大きく変えてしまいます。金額や期限は、元メモや適切に取得・利用できる録音記録と一つずつ照合します。記録同士や出席者の認識に食い違いがあれば、未確認のまま決定事項にせず、関係者へ確認します。また、「前向きに検討する」といった意向の表明を確定的な合意と丸めてしまわないよう、発言のニュアンスと決定事項とを明確に区別して記録する必要があります。

社内共通フォーマットの整備

生成AIによる議事録作成を組織的に定着させるには、社内で統一したフォーマットや指示文を用意しておくことが有効です。作成者ごとに形式が異なると、過去の経緯を検索したり条件を比較したりする際に余計な手間がかかります。

共通の指示文には、決定事項と保留事項を分け、確認できた担当者と期日を書くよう指定します。不明な項目には「要確認」と表示し、出力後に数字を原資料と照合する手順も共有しておくと、担当者が替わった際も確認を引き継げます。

なお、会議メモを入力する際は、社名や個人名を伏せるだけでなく、社内の情報管理規程に沿った利用承認を得ているかを確認することが前提となります。また、AIが出力した文章はあくまで未確定のドラフトとして扱い、必ず人間が事実関係を確認したうえで確定した記録として共有・保管します。確認前の資料を保存する場合は、未確認の下書きと分かる表示を付けます。

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