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TikTok Shop・ライブコマースの法務|通信販売表示・ステマ・返品対応

こんにちは。LegalAgent 代表弁護士の朝戸です。

ライブ配信中に商品を紹介し、画面のリンクをタップすれば、配信を見続けながら購入まで進める。TikTok Shopは2025年6月30日に日本で始まり、ショート動画やLIVE配信、クリエイターによる紹介とアプリ内決済が一つの導線でつながりました。衝動買いにつながりやすい手軽さは売り手にとって大きな利点ですが、法務の目線で見ると、商品紹介から申込み・決済までが連続するため、各場面の表示を通して確認することが大切です。

売主が誰かを曖昧にしたまま配信を始めると、特定商取引法の表示義務も、返品の窓口も、景品表示法の広告責任も、誰が担うべきか分からなくなります。まずはブランド、出店者、配信者、TikTok Shopそれぞれの役割をはっきりさせます。そのうえで、配信中の発言から商品ページ、購入確定画面までを一連の取引としてつなげて確かめます。

売主を起点とする取引関係

TikTokの日本向け発表によると、TikTok Shopでは、販売者がショッピング動画やLIVE配信で商品を販売でき、クリエイターはアフィリエイトプログラムを通じて商品を紹介できます。決済や注文管理、返品・返金などの機能もプラットフォーム上に用意されています。

もっとも、プラットフォームが画面や決済の仕組みを提供しているからといって、当然にプラットフォーム自身が売主になるわけではありません。購入者に商品を引き渡して代金を受け取り、契約不適合や返品に対応する責任者が誰なのかは、出店契約の内容や購入画面の表示、代金回収の仕組み、実際の問い合わせ対応から判断されます。

出店者が売主であれば、その出店者が通信販売の販売業者として表示義務などを負います。ブランド元が商品を供給し、別の会社が販売を担当しているケースでは、配信や広告で目にするブランド名と法的な売主が一致しない場面も出てきます。配信者が自分で在庫を抱えて売るのか、他社の商品を成果報酬で紹介するだけなのかも、明確に分けておかなければなりません。購入後に「結局だれから買ったのか」を探さないと分からない状態は、日々のトラブル対応以前に、取引表示としての問題を抱えています。

ライブ画面も通信販売の広告

TikTok Shopで商品を販売する取引は、通常、特定商取引法上の通信販売に該当します。特定商取引法11条では、通信販売の広告に対し、販売価格、送料、代金の支払時期・方法、商品の引渡時期、返品特約、販売業者の氏名または名称、住所、電話番号などの表示を定めています。一定の事項は請求があれば遅滞なく提供する旨を表示して省略することも認められますが、その際は請求にすぐ応じられる体制を整えておく必要があります。また、購入者が注文を決める前にその情報を受け取れる導線にし、返品特約のように省略が許されない事項もしっかり区別します。

LIVE配信は台本どおりに進むとは限りません。「今日だけ半額」「残りわずか」「必ず効果が出る」といった言葉が、配信の勢いで飛び出す場面もあります。配信中の音声やテロップ、固定コメントや商品カード、リンク先の商品ページなどは、すべて消費者が受け取る一連の表示として判断されます。商品ページに正しい価格を記載していても、配信者が事実と違う割引率や在庫数を口にしていれば、配信そのものを訂正しなければなりません。

同法12条は、商品の性能や品質、価格などの取引条件について、著しく事実に相違する表示や、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる表示を禁じています。景品表示法5条の優良誤認や有利誤認も並行して問題になります。配信で使用感や効果を語る際は、個人の感想にとどまるのか、一般的な効果をうたうのかをあらかじめ整理し、一般的な効果を示すなら客観的な裏付け資料を販売前に確認します。「個人の感想です」と小さく添えても、画面全体の印象が一般的な効果をアピールしているなら、その注記だけで責任を免れることはできません。

購入確定画面の表示

特定商取引法12条の6は、通信販売の申込みを受ける画面において、商品の分量や販売価格・送料、代金の支払時期・方法と引渡時期、さらに申込期間がある場合の期限や解約・返品に関する事項の明記を定めています。あわせて、その画面が申込み手続きであると消費者が容易に認識できないおそれのある表示や、各事項について誤認させる表示を禁じています。

消費者庁の「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」では、SNSのチャット機能等で申込みを受け付ける場合も規制の対象になり得ることや、注文を確定する直前の画面を基準に表示を確かめる旨が示されています。広告画面に対する表示義務と、最終確認画面の表示義務は別個のルールです。LIVE配信中にどれほど丁寧に条件を伝えていたとしても、最終確認画面での記載を省略することはできません。

定期購入を扱う導線では、初回価格だけを目立たせ、2回目以降の価格や各回の分量、総額や解約方法を見落としやすい配置にすると、消費者が条件を誤認する恐れがあります。購入確定ボタンから離れた位置に条件を隠したり、リンク先の深い階層に埋め込んだりする画面設計は避けます。もっとも、画面遷移やスクロールが一律に禁止されているわけではなく、何がどこに記載されているかを分かりやすく示し、容易に確認できる方法であれば認められる余地もあります。「次へ」というボタンを押しただけで確定し、申込みであることが画面上で読み取れない作りには注意を払います。同法12条の6に反する不当な表示によって誤認して申し込んだ消費者は、同法15条の4に基づき申込みを取り消せる場合があります。

アプリ内で決済まで完結するケースでも、自社で管理できる商品ページを見るだけでは不十分です。ログイン状態やクーポンの適用、購入数量や契約形態によって最終画面が変わるのであれば、それぞれの購入経路を実機で確認し、画面キャプチャと確認日時を記録として残します。なお、これらは通信販売全般に共通する確認事項であり、TikTok Shop上で定期購入などの機能が実際に利用できると断定する意図は含みません。各機能の提供範囲は、実際の契約内容や最新の仕様で確かめます。

クリエイター投稿と広告主の責任

2023年10月1日以降、広告であるにもかかわらず広告と判別しにくい表示は、景品表示法上の不当表示として規制されています。対象となるのは、原則として表示内容の決定に関与した広告主です。クリエイターへの報酬支払の有無だけでなく、商品の無償提供や投稿内容への指示、修正の要請、今後の取引関係を期待させるやり取りの有無などを総合的に見て、事業者の表示と評価されるかが決まります。

消費者庁のステルスマーケティングに関するQ&Aでも、事業者がインフルエンサーの投稿内容の決定に関わった場合、その表示は事業者自身の表示になると解説されています。アフィリエイターは通常、商品の供給主体ではないため直接の規制対象になりにくいとされていますが、共同で商品を供給していると見なされる事情があれば話は別です。広告主が「配信者が勝手に話した」と弁明しても、台本や提供資料、事前の承認履歴から関与が認められることがあります。

「#PR」などの表記は、単に付けるだけでなく、位置や見え方まで配慮します。LIVE配信の途中から参加した視聴者にも広告と伝わるか、表示位置や表示時間は十分か、商品紹介と雑談の境目が曖昧になっていないかを確かめます。アーカイブ動画や切り抜き動画、短尺広告へ素材を転用する際も、それぞれ単体で見て広告と分かる表示にしておく必要があります。

広告主としては、配信前の原稿チェックにとどまらず、公開された配信や投稿の事後確認まで行います。配信者が事前に合意した表現から外れたときに、固定コメントで即座に訂正するのか、配信を中断するのか、アーカイブを非公開にするのかを決めておけば、不適切な表示が放置されるリスクを抑えられます。

従業員を雇用していない個人や、代表者以外の役員がおらず従業員もいない法人のクリエイターへ配信や制作を委託するときは、フリーランス法の適用関係も確かめます。同法3条の対象となる場合、給付内容や報酬額、支払期日といった法定の取引条件を、業務委託をしたときに直ちに書面または電磁的方法で明示しなければなりません。正当な理由でその時点では定められない事項には例外がありますが、未定の理由と決定予定期日を明示し、決定後直ちに補充します。あわせて成果物の利用範囲や広告への転用、著作権の帰属も発注時の契約で定めておきます。

成果報酬の取り決めだけを交わし、動画の広告利用や権利関係を後から口頭で追加するような進め方は避けます。発注側が従業員を使用しているか、法人の役員が複数いるか、委託期間が一定以上続くかといった個別の要件によって、期日内の報酬支払やハラスメント対策、中途解除の事前予告など、適用される義務の範囲が変わります。さらにクリエイターへの委託では、当事者の資本金や従業員規模、委託内容に応じて、2026年1月施行の取適法への配慮も欠かせません。

フリーランス法と重複して適用される場合があり、法人同士の取引のみを対象とする枠組みにとどまらない点にも留意します。

返品・返金と問い合わせ対応

通信販売には、訪問販売のような法定のクーリング・オフ制度は設けられていません。もっとも、特定商取引法15条の3により、返品特約を適切に表示していないときは、購入者は商品の引渡しを受けた日から8日以内であれば、返送費用を負担して契約を解除できます。返品を受け付けない特約や開封後の返品不可、食品や衛生商品の取り扱い方針を定めるなら、商品ページと最終確認画面の双方で見つけやすい位置に表示します。

返品特約を設けていても、届いた商品が注文内容と異なる場合や破損していた場合、表示された品質を満たしていないケースでの販売責任まで免れることはできません。購入者都合の返品、配送事故や契約不適合、定期購入の解約などを明確に区分し、受付窓口と費用負担を定めます。

TikTok Shopと出店者、物流会社、決済事業者のうち、誰が購入者からの最初の問い合わせを受けるかも事前に定めておきます。プラットフォーム上で返金処理が行われたとしても、返品された商品の所有権や在庫への戻し方、アフィリエイト報酬の取り消しなどは別途整理を要します。出店契約とクリエイター契約の間でも、返金時の報酬調整やチャージバック、不正注文への対応、商品回収にかかる負担を整合させておきます。

配信・画面・契約を通しで見る審査

ライブコマースでは、配信の台本や商品ページ、購入確定画面、返品対応やクリエイター契約を別個にチェックしていると、取引主体や提示条件の食い違いを見落としがちです。LegalAgentでは、売主とプラットフォームの役割分担を明確にしたうえで、表示から利用規約、日々の運用フローまでを一連の取引として見渡す法務レビューを行っています。関連するサポート内容は、広告審査IT・SaaS・システム開発法務法務アウトソーシングをご覧ください。

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