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契約レビュー法務における生成AI活用法法務アウトソーシング

社内利用と著作権|記事共有・研修資料・AI要約の確認事項

こんにちは。LegalAgent 代表弁護士の朝戸です。

業界紙の記事を会議の出席者に配る。ウェブニュースの画面を社内チャットに貼る。研修資料に外部の図表を使う。どれも日常的な業務ですが、社外に公開しない場合でも、著作権者の許諾が必要になることがあります。

確認の中心は、その利用が複製などの権利に関わるか、引用等の例外が認められるか、契約でどこまで許諾されているかという点です。紙を配る場合とクラウドに保存する場合では、関係する権利や契約条件が違うこともあります。生成AIに記事を入力して要約させる場合も、入力と出力後の共有を含めて確認する必要があります。

業務上の複製と私的使用の範囲

著作権法21条は、著作者が著作物を複製する権利を専有すると定めています。記事のコピーやスキャン、画面のスクリーンショット、文章の貼り付けによる保存は、著作物を再製する行為として問題になります。元の新聞や書籍を購入したことと、その内容を複製して利用できることは別です。

同法30条1項は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲で使用することを目的とする場合に、一定の除外事由の下で、使用する本人による複製を認めています。この「私的使用」は、アクセス先を社内に限定すれば満たせるという条件ではありません。会社の業務として資料をコピーし、同僚や役員に配る利用は、通常、この範囲に含まれないと考えられます。

従業員が自分だけで読むための資料でも、仕事のための複製であれば、当然に私的使用になるとはいえません。他方、会社にある本を従業員が業務と離れた個人的な学習に用いる場合は、利用目的等に即して判断します。使用した設備や部数に加えて、何のために複製するかを確認することが大切です。

著作権の対象になるのは、思想又は感情を創作的に表現したものです。同法10条2項は、事実の伝達にすぎない雑報や時事の報道を言語の著作物から除いています。ただし、新聞やニュースサイトの記事には、記者の表現、解説、写真などが含まれます。報道されている事実を自分の言葉で伝えることと、記事の文章や写真をそのままコピーすることは、区別して扱う必要があります。

共有先とネットワークによる権利の違い

コピーした資料を多数の従業員が閲覧できるクラウドに置く場合は、複製権に加えて公衆送信権を確認します。同法23条1項は、公衆送信を行う権利を定め、自動公衆送信では送信可能化も対象としています。同法2条5項により、「公衆」には特定かつ多数の者も含まれます。

閲覧者の氏名が分かっており、ログインが必要なサービスであっても、多数の従業員が対象なら公衆に当たり得ます。全国の拠点からアクセスできる共有フォルダや、全社員向けチャットへの記事掲載では、社内向けであることだけを根拠に公衆送信権の確認を省けないと考えられます。

一方、公衆送信の定義には、同一構内の設備間で行う送信についての除外があります。同法2条1項7号の2は、構内が複数の者の占有に属するときは同一の者が占有する区域内に限り、プログラムの著作物の送信を除いて、この除外を定めています。そのため、構内だけで完結する送信と、外部のクラウドや別拠点を経由する送信は分けて確認します。

この除外に該当しても、ファイルを作成した際の複製については別途検討が必要です。少人数への送信で「公衆」に当たらない場合も、複製についての確認は必要です。資料の形式、保存先、閲覧者の範囲、実際の送信経路を把握すると、必要な許諾を具体的に確認できます。

引用と出所表示の確認

引用の目的に必要な範囲

同法32条1項は、公表された著作物について、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲で引用して利用できると定めています。条文には、引用が原稿全体の何%以内ならよい、何文字までならよいという一律の基準はありません。

自社の説明と引用部分が明瞭に区別されているか、引用が自社の論述にどのような役割を果たすか、使う分量が目的に見合っているかを確認します。一般に主従関係と呼ばれる点も、文字数だけで判断するものではありません。図表や写真では、対象を批評するために全体を示す必要がある場合も考えられます。全部を使ったという理由だけで直ちに引用を否定せず、目的と利用態様を検討します。

これに対し、従業員に記事そのものを読ませるため、全文の末尾に短い感想を付けるだけでは、引用の目的や必要性を十分に説明できないことがあります。他社の図表を資料の見栄えをよくするために配置する利用も、図表の内容を検討するための引用とは事情が異なります。引用に当たる根拠を説明できない場合は、許諾を取得するか、利用方法を変える必要があると考えられます。

出所の明示と改変の問題

引用の適否に加えて、同法48条の出所明示義務を確認します。引用して複製する場合には、利用態様に応じた合理的な方法と程度で出所を明示し、同条2項に従って著作者名も示す必要があります。記事名、媒体名、著作者名、掲載日、URL等から、出典が分かる形にしてください。

出所を書けば、引用の目的や分量が適切でない利用まで認められるという関係にはありません。反対に、出所表示を欠く場合も、32条による利用の適否と48条の義務違反を混同せず検討します。社内の確認手順では、引用部分の必要性と、出所・著作者名の表示をそれぞれ確認できるようにすると、見落としを減らせると考えています。

図表の色や数値を変える、写真を切り抜くといった加工では、同法20条の同一性保持権も問題になります。同法50条は、権利制限規定が著作者人格権に影響しないことを定めています。引用としての利用が認められる場合でも、改変の可否を別途確認する必要があります。

記事共有・研修資料・AI要約への対応

記事の回覧と研修資料

情報共有だけが目的なら、適法に公開されている元ページのURLを案内し、各自が元ページを読む方法を検討できます。リンクを示すだけであれば、通常、記事本文の複製や公衆送信を伴いません。ただし、チャットが画像や本文を自動で展開する場合や、要約に元の創作的な表現を残す場合は、その表示内容も確認してください。「URLと短い要約なら常に問題がない」という一律の扱いは避ける必要があります。

記事のPDFや画像を定期的に配る運用では、対象媒体と配布先を特定した上で、出版社や管理団体との契約を確認します。購読契約、クリッピング契約、複製の許諾契約は、それぞれ対象者や認められる利用が異なることがあります。購読者本人の閲覧権限を、全社員への配信権限に読み替えないことが大切です。

研修資料では、自社の説明に必要な引用なのか、受講者に外部資料そのものを配るのかを確認します。同法35条は、営利を目的として設置されていない学校その他の教育機関の授業を対象とする規定です。通常の企業内研修を「教育目的だから」という理由だけでこの規定に当てはめることはできないと考えられます。

研修で使う外部資料について、出典と利用箇所、引用の目的、配布方法を記録してください。社内研修の録画を後日配信する場合には、当日の資料配布と同じ条件で利用できるかも確認します。外部講師の資料であっても、講師との契約だけで第三者の著作権まで処理できているとは限りません。

生成AIへの入力と要約の共有

生成AIに記事を読み込ませて要約させるときは、入力のための複製と、出力を社内で共有する行為を確認します。同法30条の4は、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用を、必要と認められる限度で認めています。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は除かれます。

文化庁の平成30年改正の説明も、情報解析等について、非享受目的と権利者の利益への影響を示しています。AIを使うという技術的な事情だけで、すべての入力がこの例外に含まれるものではありません。記事の内容を読んで理解するために要約させる利用では、その目的や出力内容を踏まえた検討が必要と考えられます。

出力が事実関係を自分の言葉で伝える程度なのか、元の記事の表現を再現しているのかも確認してください。外部記事を検索・回答用のデータベースに取り込む場合には、30条の4だけで判断せず、47条の5の軽微利用等の要件や契約による許諾も検討します。有料サービスの記事を入力する場合は、購読規約に定める機械的な取得や外部サービスへの提供の条件も確認が必要です。

複製許諾の範囲と社内で残す記録

日本複製権センター(JRRC)は、管理する著作物について、利用目的に応じた包括許諾や個別許諾を案内しています。紙の複写、スキャン等の電磁的複製、デジタル著作物のオプションなどは、契約内容を分けて確認する必要があります。

管理受託対象著作物の案内で、対象媒体と利用方法の制限を確認してください。JRRCと契約している場合も、利用する記事、写真、ウェブコンテンツが管理対象と契約の許諾範囲に含まれるかを確認します。社外への配布、継続的なクリッピング、保存期間、クラウドでの共有についても、実際の契約条件との照合が必要です。

担当者が替わっても判断の根拠を確認できるよう、資料ごとに次の情報を残しておくとよいと考えます。

  • 著作物・媒体・権利者と出典URL
  • 利用目的、複製する範囲、配布先と保存先
  • 引用等の根拠、又は許諾契約と有効期間
  • 保存・削除の条件と社外提供の可否

既存の共有フォルダを点検する際は、利用が続いている資料から、許諾の根拠や期限を確認してください。契約の対象外となる配布が見つかった場合は、その利用を止めて、権利者への確認や利用方法の変更を進めます。今後の登録時にも同じ項目を残せば、資料を使う都度、出典から調べ直す負担を減らせます。

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