投資型クラウドファンディングは、資金調達施策ではなく金融規制である
こんにちは!Legal Agent代表弁護士の朝戸です。
スタートアップが資金調達を考えるとき、クラウドファンディングは魅力的な選択肢に見えます。
顧客やファンから資金を集め、同時にマーケティングやコミュニティ形成にもつながるからです。
ただし、クラウドファンディングには種類があります。
購入型、寄付型、貸付型、投資型では、法的な位置づけが大きく異なります。
特に、株式やファンド持分などに投資してもらう投資型クラウドファンディングは、単なる資金調達施策ではなく、金融商品取引法上の規制が関係する領域です。
購入型と投資型を分ける
購入型クラウドファンディングでは、支援者が商品やサービスの提供を受けることが基本です。
この場合、特定商取引法、景品表示法、消費者契約法、資金決済法、表示・返金対応が問題になります。
一方、投資型クラウドファンディングでは、投資家が株式、社債、ファンド持分などの金融商品に投資し、将来のリターンを期待します。
この場合、金融商品取引法上の第一種・第二種金融商品取引業、少額電子募集取扱業務、開示、勧誘、投資家保護が問題になります。なお、少額電子募集取扱業務の発行総額や投資家ごとの投資上限は、近年の金融商品取引法の改正で段階的に引き上げられているため、募集を設計する際には、その時点の基準額を確認する必要があります。
「クラウドファンディング」という言葉だけで整理しないことが重要です。
自社で募集するのか、登録業者を使うのか
投資型クラウドファンディングを行う場合、自社が直接投資家を募集するのか、登録業者のプラットフォームを使うのかを確認する必要があります。
多くの場合、投資型クラウドファンディングは、金融商品取引業者又は少額電子募集取扱業者が関与する形で行われます。
スタートアップ側としては、プラットフォームを使う場合でも、事業計画、リスク情報、財務情報、資本政策、株主対応、投資家説明を準備する必要があります。
投資家が増えると、株主管理、情報提供、反社チェック、将来ラウンドでの調整も必要になります。
マーケティング表現に注意する
投資型クラウドファンディングでは、投資家向けの表示が重要です。
将来の成長性、Exit可能性、売上予測、提携先、技術優位性、リターンを強く訴求しすぎると、投資家誤認のリスクがあります。
投資には損失リスクがあるため、事業上のリスク、財務リスク、流動性リスク、希薄化、議決権、Exitの不確実性を適切に説明する必要があります。
資金調達の広告は、通常の商品広告とは異なる視点で確認すべきです。
将来ラウンドへの影響を見る
投資型クラウドファンディングで多数の株主が入ると、将来のVC調達やM&Aに影響することがあります。
株主管理、情報提供、株主総会、反対株主対応、譲渡制限、優先株式発行時の説明、投資契約上の承認、M&A時の同意取得が複雑になる可能性があります。
調達時点では資金が入るメリットがありますが、シリーズA以降を見据えるなら、資本政策として本当に適切かを検討する必要があります。
まとめ
投資型クラウドファンディングは、資金調達とマーケティングを同時に行える可能性があります。
しかし、金融商品取引法上の規制、登録業者の関与、投資家向け表示、株主管理、将来ラウンドへの影響を確認する必要があります。
LegalAgentでは、スタートアップの資金調達、投資型クラウドファンディング、株主構成、資本政策、投資家向け表示、将来ラウンド対応を支援しています。クラウドファンディングは、調達手段であると同時に、会社の株主構成を変える意思決定として見ることが重要だと考えています。