VC・CVCのファンド設立|投資事業有限責任組合契約の主要条項と特例業務届出
こんにちは。LegalAgent 代表弁護士の朝戸です。
ファンドの組成で最初に決めるのは、どの器を使い、誰が運営し、誰から出資を受けるかです。ベンチャーキャピタル(VC)の1号ファンドでも、事業会社がコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)として組成するファンドでも、この点は変わりません。出資者が運営に関与しないファンドでは、投資事業有限責任組合(LPS)を使う形が基本になります。運営者である無限責任組合員(GP)と出資者である有限責任組合員(LP)が組合契約(LPA)を結び、GPがLPの資金を投資します。
計画どおりに出資を集められるかを左右するのは、金融商品取引法上の手当てです。GPがLPを勧誘し、集めた資金を運用する行為は、原則として金融商品取引業の登録を要する業務に当たります。GP自身が登録を受けずにこれらを行うには適格機関投資家等特例業務(特例業務)の届出が必要で、出資を受けられる相手も限られます。そのうえで、管理報酬や成功報酬、キーパーソン条項、GPの解任といったLPAの条項がLPとの交渉の中心になります。
LPAの起案では、経済産業省が2025年6月23日に公表した「投資事業有限責任組合契約書例及びその解説(令和7年版)」が参照されます。令和7年版は、平成22年11月版の「投資事業有限責任組合モデル契約」の後継です。VCファンドについては、平成30年3月版の「投資事業有限責任組合契約(例)及びその解説」が引き続き使われることが前提です。経済産業省は、モデルLPAは契約交渉の叩き台であり、ファンドの方針や属性に応じた改変が必須だとしています。
投資事業有限責任組合を使う理由とLLP・任意組合との違い
LPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)3条1項は、LPAの効力発生の要件を定めています。各当事者が出資を行い、株式の取得・保有など同項各号の事業を共同で営むことを約すれば、LPAは効力を生じます。組合の業務はGPが決定・執行し(7条1項)、LPの責任は出資の価額が限度です(9条2項)。経済産業省のLPS法の解説(2025年7月2日)は、この「出資の価額」を、出資を約束した金額ではなく実際に出資された金額と解しています。GPは組合の債務について無限責任を負い、GPが複数いれば連帯して責任を負います(9条1項)。
民法上の任意組合では、組合の債権者が各組合員に対し、損失分担の割合又は等しい割合で権利を行使できます(民法675条2項)。業務を執行しない出資者でも、出資額を超えて請求を受けるおそれがあります。同解説によれば、LPS法は、業務を執行しない組合員の有限責任を法律で確保するために立法されました。
有限責任事業組合(LLP)は組合員全員が有限責任ですが(LLP法15条)、各組合員が組合の業務を執行する権利を有し、義務を負います(13条1項)。業務執行の決定も、原則として総組合員の同意によります(12条1項)。LLPの組合契約は各当事者が出資の全部を払い込んだ時に効力を生じるため(3条1項)、約束した金額を投資の都度払い込む方式とも合いません。出資者が運営に関与しないファンドの器にはLPSが向いており、LLPは複数のパートナーが共同でGPを務めるときの器として使えます。2023年6月の登記規則の改正で、LLPをLPSのGPとして登記できるようになりました。
LPSには固有の制約もあります。営める事業は3条1項各号に限られ、それ以外の行為をGPが行っても組合員は追認できません(7条4項)。外国法人の株式等への投資は、取得価額の合計が総組合員の出資の総額の50%未満の範囲に限られます(3条1項11号、LPS法施行令4条)。2024年9月2日施行の改正で、本邦法人等が経営を実質的に支配し、又は経営に重要な影響を及ぼす外国法人は、この「外国法人」から除かれました。同じ改正で合同会社の持分も投資対象に加わり、2025年4月1日からは事業者のために発行される暗号資産も取得できます。
GPは、毎事業年度経過後3か月以内に貸借対照表や損益計算書などの財務諸表等を作成し、5年間備え置きます(8条1項)。公認会計士又は監査法人の意見書も、あわせて備え置かなければなりません(同条2項)。組合に法人格はなく、経済産業省はLPSの特徴として構成員課税の適用を挙げています。
金融商品取引法63条の特例業務と出資者の範囲
LPSの持分は、金融商品取引法2条2項5号の集団投資スキーム持分として有価証券とみなされます。GPがLPを勧誘する自己募集は2条8項7号ヘ、集めた資金を主として有価証券に投資する自己運用は同項15号の行為です。これらを業として行うには、原則として第二種金融商品取引業と投資運用業の登録が必要です(28条2項1号・4項3号、29条)。
この登録を要しない仕組みが63条の特例業務です。金融庁の説明では、出資者が適格機関投資家だけの場合と、1人以上の適格機関投資家と49人以下の一定の投資家である場合は届出で足ります(63条1項、金融商品取引法施行令17条の12第3項)。適格機関投資家には、銀行や保険会社のほかLPS自体も含まれます(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令(定義府令)10条1項18号)。有価証券の残高が10億円以上の法人も、金融庁長官に届け出れば適格機関投資家になれます(同項23号イ)。
GP自身が第二種金融商品取引業と投資運用業の登録を受けていれば、特例業務の届出は要りません。勧誘を登録業者に任せ、運用権限の全部を一定の要件のもとで投資運用業者に委託する方法(定義府令16条1項10号)でも、GPは届出をせずに運営できます。
49人以下の枠に入れる特例業務対象投資家の範囲は2016年3月1日施行の改正で絞られ、一般の個人は出資できなくなりました。現在の対象は、上場会社や資本金又は純資産が5,000万円以上の法人、GPの役職員や親会社等・子会社等などです(施行令17条の12第1項)。個人では、投資性の金融資産が1億円以上と見込まれ、証券口座の開設から1年を経過した者などが対象です(金融商品取引業等に関する内閣府令(業府令)233条の2第3項)。特例業務として私募を行うには、主に次の条件を満たさなければなりません(業府令234条の2第1項、施行令17条の12第4項)。
- 1人以上の適格機関投資家と、49人以下の特例業務対象投資家に限った勧誘
- 小規模なLPS(借入金を除く運用財産が5億円以上と見込まれないもの)以外の適格機関投資家の参加
- GPと密接な関係を有する者などからの出資が出資総額の2分の1未満となる出資構成
- 持分の譲渡先を適格機関投資家等に限るLPA上の譲渡制限
投資対象を主に非上場株式とするファンドには、出資者の範囲を広げるベンチャー・ファンド特例があります。条件の一つは、出資額から現金・預貯金を除いた額の80%を超える額を、非上場の株式や新株予約権などに投資することです。借入れや債務保証を原則として行わず、やむを得ない場合を除いて出資者の請求による払戻しをしないことも求められます(施行令17条の12第2項、業府令233条の4)。この特例を使うと、上場会社の役員や、会社の設立・M&A・上場準備などの業務に通算1年以上従事した者(最後の従事から5年以内)なども出資者に加えられます(業府令233条の3)。その代わりにLPAには、財務諸表等の監査や出資者集会での報告、正当な事由があるときに持分の過半数でGPを解任できることなどを定めます(業府令239条の2第1項)。契約書の写しは、届出の日から3か月以内に提出します(63条9項、業府令239条の2第3項)。
届出は特例業務を行う前に「あらかじめ」行うため(63条2項)、LPへの勧誘を始める前に済ませておかなければなりません。届出書は業府令の別紙様式第20号で作成し、本店等の所在地を管轄する財務局長等に提出します(業府令236条)。欠格事由に当たらない旨の誓約書、定款、登記事項証明書のほか(63条3項)、役員と重要な使用人の履歴書なども添付します(業府令238条の2)。重要な使用人とは、法令遵守の指導を統括する者と運用部門を統括する者です(施行令17条の13)。
届出をしたGPには、広告の規制や契約締結前の書面交付、損失補てんの禁止、忠実義務と善管注意義務などの行為規制が適用されます(63条11項)。毎事業年度経過後3か月以内の事業報告書の提出と(63条の4第2項)、4か月を経過した日から1年間の説明書類の縦覧も必要です(同条3項、施行令17条の13の4)。届出をせずに特例業務を行うと、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はその併科の対象となります(197条の2第10号の5)。金融庁の監督指針(IX-1-1)は、勧誘する顧客が出資者の要件に当たることを確認し、その結果と根拠を記録しておくよう求めています。
組合契約で交渉になる主な条項
LPAの必要的記載事項はLPS法3条3項が定めていますが、交渉で論点になるのは、当事者の合意に委ねられた経済条件とガバナンスの条項です。令和7年版モデルLPAの解説は、条項ごとに設計の考え方と選択肢を示しています。
出資約束とキャピタルコール
令和7年版モデルLPAは、各LPが出資を約束した金額(出資約束金額)の範囲で、GPの請求(キャピタルコール)に応じて順次払い込む方式を採っています。LPが払込みを怠ると、利息を支払うほか損害を賠償しなければなりません(LPS法16条、民法669条)。他のLPの不履行を理由に、自分の払込みを拒むこともできません(民法667条の2第1項の準用)。不履行を防ぐ手段として、モデルLPAの解説は、議決権の停止や以後の投資からの除外、分配金の没収や除名といった厳しい制裁を定める例が多いと説明しています。
GP自身も出資一口以上を持たなければならず(LPS法6条1項)、経済産業省のLPS法の解説によれば、GPが出資しない旨の合意は無効です。モデルLPAの解説は、GPとLPの利益をそろえるため、LPの総出資口数の一定割合(例として1%)の出資口数をGPが維持する条項を例示しています。
存続期間・投資期間・キーパーソン条項
存続期間はLPAの必要的記載事項であり、登記事項でもあります(3条3項7号、17条1号)。延長すると管理報酬の支払が続き、分配も遅れるため、モデルLPAでは延長にLPの同意が要ります。銀行や保険会社がLPとなる場合は、独占禁止法11条1項4号にも目を向けてください。同号は、LPが議決権を行使できずGPに指図もできないこと、議決権を取得してから10年(同法施行令17条)を超えて保有しないことを条件に、議決権の保有制限の適用を除外しています。モデルLPAの解説によれば、こうしたLPがいるファンドでは存続期間を10年以内とするのが一般的です。
モデルLPAは、新規投資を行う期間を投資期間として別に定めています。同解説によれば、存続期間10年のプライベート・エクイティ・ファンドでは、投資期間を4、5年程度とするのが一般的です。キーパーソン条項は、特定の担当者が運営から離れたときに投資期間を中断・終了させる条項です。LPが特定の担当者への信頼を理由に出資する場合に置かれ、対象となる担当者の範囲や、自動的に発動するかLPの投票で発動するかを交渉で決めます。
管理報酬と成功報酬の配分
モデルLPAは、管理報酬の算定基礎を、投資期間中は総組合員の出資約束金額、投資期間終了後は投資残高又は純資産額としています。GPや関係者が投資先から受け取った手数料を管理報酬から控除する条項も置かれ、解説はこれをGPとファンドの間の実質的な利益相反を抑える仕組みと説明しています。
LPAで損益分配の割合を定めなければ、出資の価額に応じて分配されます(LPS法16条、民法674条1項)。モデルLPAは、成功報酬を、分配の順序(ウォーターフォール)の中でGPに配分するキャリード・インタレストとして定めています。LPが出資額を回収し、ハードル・レートに相当する優先分配を受けた後、キャッチアップを経てGPとLPが一定割合で分け合う設計です。ファンド全体で出資の回収を先行させる方式と投資案件ごとに計算する方式があり、解説は日本の実務では前者が多いとしています。後者はGPへの分配が早く始まるため、清算時に払い過ぎの成功報酬を返還させるGPクローバック条項と、その原資の確保が論点になります。
分配は貸借対照表上の純資産額が上限で(LPS法10条1項)、この純資産額から未実現利益は除かれます(LPS法施行規則22条1項)。上限を超える分配を受けたLPは、受け取った額の範囲で組合の債務を弁済する責任を負い、分配から5年を経過すれば責任を免れます(10条2項)。
利益相反・投資制限・報告
GPは、組合の業務について善管注意義務を負います(LPS法16条、民法671条・644条)。特例業務として自己運用を行うときは、金融商品取引法上の忠実義務と善管注意義務も負います(63条11項、42条)。GPが自己や取締役・執行役を相手に組合財産と取引することや、GPが運用する他のファンドとの間で取引することは、原則として禁止されます(42条の2第1号・2号)。例外の一つは、取引ごとに全てのLPに内容と理由を説明し、全員の同意を得る場合です。LPAに定めを置けば、全員の同意に代えて、LPの半数以上かつ持分の4分の3以上の同意で足ります(業府令128条2号、129条1項2号)。その定めには、反対したLPの請求により持分を公正な価額で買い取る旨も含めます。非上場株式の売買では、合理的な方法で算定した価額によることも求められます。
後継ファンドで投資を始められる時期や投資機会の配分も、LPAで定めます。モデルLPAは利益相反取引の承認などを担う諮問委員会を置いていますが、解説によれば、諮問委員会は法令上の機関ではなく契約で設計する任意の機関です。諮問委員会に権限を与える際は、LPが組合の業務を決定・執行することにならないよう留意が求められます。
モデルLPAは、同一投資先への投資額の上限や投資地域・投資手法、借入れの条件といった投資制限を、投資ガイドラインとして別紙に定めています。報告については、LPS法8条の財務諸表等と意見書に加え、四半期の財務情報の送付と年1回の組合員集会がモデルLPAに定められています。特例業務のGPは、特定投資家に当たらないLPに運用報告書も交付します(63条11項、42条の7、業府令134条7項4号)。各LPは業務と財産の状況を検査でき(民法673条の準用)、財務諸表等やLPAの閲覧・謄写も請求できます(LPS法8条3項)。
GPの解任と解散・清算
GPの解任には民法672条2項が準用され(LPS法16条)、経済産業省の解説によれば、正当な事由と他の組合員全員の一致が必要です。LPが多いファンドで全員の一致を得るのは難しいため、LPAで解任や除名の事由と必要な同意の割合を定めます。ベンチャー・ファンド特例では、正当な事由がある場合に持分の過半数(又はこれを上回る割合)の同意で解任できることを定めなければなりません(業府令239条の2第1項12号)。モデルLPAは、違法行為などの事由があるときにLPの一定割合の同意でGPを除名する構成です。解説は、事由を問わずLPの多数でGPを交代させる条項が海外にあることに触れつつ、GPの業務執行を萎縮させるおそれも指摘しています。
組合は、存続期間の満了や目的たる事業の成功又はその成功の不能、LPAで定めた事由などで解散し(LPS法13条)、原則としてGPが清算人となります(14条)。存続期間の満了時に未売却の投資先が残る場合に備え、期間の延長と継続ファンドへの売却、現物分配のどれを選ぶかの手順もLPAに定めておいてください。清算段階でLPとGPの利害が対立したときに、判断の基準になります。
CVCファンドの組成と事業会社のLP出資
親会社がLP、子会社がGPとなる構成
経済産業省のLPS法の解説は、株式会社をLPとし、その完全子会社をGPとしてLPAを結ぶことも可能と明記しています。GPの親会社等は、特例業務対象投資家に当たります(施行令17条の12第1項6号、業府令233条の2第1項2号)。2分の1要件の計算でも、GPの親会社等の出資は除かれます(業府令234条の2第1項2号)。もっとも、特例業務を使うには1人以上の適格機関投資家が欠かせません。親会社が有価証券の残高10億円以上の要件を満たして届出により適格機関投資家となるか、金融機関などを迎えるかを、組成の初期に決めてください。届出による適格機関投資家の地位は、届出をした月の翌々月の初日から2年間に限られます(定義府令10条6項)。運用期間中も要件を満たし続けるよう、更新の時期も管理してください。監督指針は、特例業者自身や特例業者が運用する他のファンドが唯一の適格機関投資家である構成を、要件を満たさない私募や運用の例に挙げています(IX-1-2)。
子会社GPの投資判断に親会社がどこまで関与できるかも、事前に詰めておくべき点です。経済産業省の解説は、全ての投資先の決定にLPの同意を要する条項を設け、LPがその同意権を行使することは、LPS法7条1項に抵触するとしています。モデルLPAの解説も、GPとLPが1社ずつでLPがGPの親会社であるファンドでは、LPがGPの投資判断を左右しない体制を求めています。特例業務届出者であるGPには、業府令130条1項も適用されます(63条11項、42条の2第7号)。同項は、第三者の利益を図ってLPの利益を害する運用(2号)や、他人から不当な拘束を受けた運用(4号)を禁じています。親会社の事業戦略との整合は投資ガイドラインとして事前に合意し、個別案件はGPの投資委員会が判断する形にしてください。
モデルLPAの解説は、人事異動で担当者が頻繁に替わるファンドにキーパーソン条項を置くのは現実的でないとしています。外部のLPを迎えるCVCファンドでは、親会社の人事方針を踏まえて、キーパーソンの範囲と後任を指名する手続を決めておいてください。
投資先との事業連携をCVCの目的に含める場合、ファンドを通じて得た投資先の情報を親会社の事業部門で使えるかは、LPAと投資先との契約で決まります。モデルLPAは、LPに対し、ファンドを通じて得た情報の秘密保持と目的外利用の禁止を課しています(第50条)。親会社が投資先との協業を予定しているなら、情報の利用範囲を投資契約やLPAで明確にしてください。ファンドと親会社との取引を、通常の取引条件と異なる条件で行うことも避けてください(金融商品取引法42条の2第4号)。投資先のスタートアップから見た事業会社との契約の論点は、CVCや事業会社連携で、スタートアップが契約前に確認すべきことで取り上げました。
ファンドの名称に親会社の社名を入れる場合は、LPS法5条4項を確認してください。LPが自己の名称を組合の名称に用いることを許諾すると、その後に生じた組合の債務についてGPと同一の責任を負います。経済産業省は、社名の一部や略称を用いる場合に同項に当たるかを、第三者がそのLPに業務執行権があると誤認するような名称かどうかで個別に判断するとしています。
届出から登記・初回出資までの順序
設立の手続は、おおむね次の順序で進みます。
- GPとなる法人の設立とLP候補者の属性の確認
- LPへの勧誘を始める前の特例業務の届出
- 契約締結前交付書面の交付と取引時確認を経たLPAの締結
- 効力発生日から2週間以内の組合契約の効力の発生の登記(LPS法17条)
- 組合口座の開設と初回のキャピタルコール
登記はGPが申請し(26条1項)、組合契約書を添付します(27条)。英文のLPAであれば日本語訳を添付し、登録免許税は申請1件につき3万円です(登録免許税法別表第一第28号(一)イ)。登記の前でも、LPAは組合員の間で効力を生じます。ただし、登記事項は登記の後でなければ善意の第三者に対抗できず(4条1項)、登記を怠ると100万円以下の過料の対象になります(34条1号)。組成後も、財務諸表等の作成と監査や、事業報告書の提出と説明書類の縦覧が毎年続きます。届出事項や登記事項が変わったときは、変更届出と変更登記も行います(金融商品取引法63条8項、LPS法18条)。
LPとして出資する事業会社の確認事項
外部のVCファンドに出資する事業会社は、まず自社が出資者の要件を満たすかを確かめます。資本金又は純資産が5,000万円以上の法人は特例業務対象投資家に当たり、GPから要件を裏付ける資料の提出を求められることがあります。LPAでは、キャピタルコールの通知期間と自社の決裁手続の所要日数が合うか、不履行時の制裁がどこまで厳しいかを最初に見てください。管理報酬の算定基礎と投資先からの手数料の控除、ウォーターフォールの方式とGPクローバック、キーパーソン条項とGPの解任の要件、存続期間の延長に必要な同意も確認の対象です。
モデルLPAでは、持分の譲渡にGPの承諾が必要です。譲渡先も適格機関投資家等に限られるため(施行令17条の12第4項)、途中で持分を売却して資金を回収できる場面は多くありません。戦略目的で出資する場合は、秘密保持と目的外利用の禁止の条項が、投資先の情報を自社の事業に生かす計画と両立するかを確かめてください。個別の条件はサイドレターで合意できます。LPAの変更について、経済産業省のLPS法の解説は、多数決で変更できる旨の定めがあれば、組合員の既得の権利を失わせない限り一応有効と考えられるとしています。サイドレターで得た条件が後のLPAの変更でどう扱われるかも、あわせて確認してください。