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Insight

税制適格ストックオプションを作る前に、法務が見るべき論点

こんにちは!Legal Agent 代表弁護士の朝戸です。

スタートアップでは、採用やインセンティブ設計のためにストックオプションを発行することがよくあります。特に、税制適格ストックオプションは、一定の要件を満たすことで税務上有利に扱われる可能性があるため、多くの会社が検討します

ただし、ストックオプションは、単に契約書を作ればよいものではありません。会社法、税務、資本政策、採用戦略、投資家対応が関係します。弁護士の立場から見ると、発行前に確認すべき法務論点が多いテーマです

SOプールと資本政策

まず確認すべきなのは、ストックオプションをどの程度発行するのかです。いわゆるSOプールをどの水準にするかは、採用戦略と資本政策に直結します

発行しすぎると、創業者や既存株主の希薄化が大きくなります。一方で、少なすぎると、重要な人材に十分なインセンティブを渡せない可能性があります。シリーズA前後では、投資家からSOプールの水準を確認されることもあります

ストックオプションを発行する前に、現在の株主構成、次回ラウンドの調達額、将来の採用計画、役職ごとの付与方針を踏まえて、どの程度の枠を用意するかを考える必要があります

税制適格要件の確認

税制適格ストックオプションを発行する場合、税制上の要件を満たす必要があります。付与対象者、行使期間、行使価額、年間行使価額の上限、譲渡制限、保管委託など、複数の要件があります

税務の詳細については税理士と連携して確認する必要がありますが、法務としても、契約書や発行手続が要件と整合しているかを確認することが重要です。税制適格を前提に設計していたのに、契約文言や手続の不備で要件を満たさないとなると、付与対象者にとって大きな影響が出る可能性があります

また、法令や税制は改正されることがあるため、発行時点で最新の制度を確認する必要があります

発行手続と資料管理

ストックオプションの発行には、会社法上の手続が必要です。募集事項の決定、株主総会や取締役会の決議、割当契約、新株予約権原簿、登記などを確認する必要があります

スタートアップでは、採用を急ぐあまり、内定者や従業員に口頭で付与を約束してしまうことがあります。しかし、ストックオプションは正式な発行手続を経て初めて権利として成立します。口頭やメールで曖昧に約束すると、後からトラブルになる可能性があります

シリーズAやM&Aの法務DDでは、ストックオプションの発行資料が確認されます。誰に、いつ、何個、どの条件で付与したのかを説明できる状態にしておくことが重要です

ベスティングと退職時の取扱い

ストックオプションでは、ベスティングや退職時の取扱いも重要です。一定期間働いた場合に段階的に権利が確定する設計にするのか、退職時に未行使分をどう扱うのか、懲戒解雇や競業の場合にどうするのかを決めておく必要があります

特に、初期メンバーに大きなストックオプションを付与する場合、短期間で退職したときの扱いを明確にしないと、会社にとって大きな負担になることがあります

一方で、付与対象者にとって納得感のない設計にすると、採用やリテンションの効果が弱くなる可能性があります。会社の成長に貢献した人に適切に報いる設計と、会社の資本政策を守る設計のバランスが重要です

ストックオプションは採用メッセージでもある

ストックオプションは、法務書類であると同時に、会社からメンバーへのメッセージでもあります。会社がどのように成長し、どのような貢献に報いるのかを示す制度です

そのため、弁護士や税理士だけで設計するのではなく、経営陣、採用責任者、投資家との関係も踏まえて考える必要があります。制度の説明資料、付与時のコミュニケーション、退職時の対応まで含めて設計することが望ましいと考えています

LegalAgentでは、ストックオプションを、単なる発行手続ではなく、スタートアップの資本政策、採用戦略、将来の資金調達に関わる重要テーマだと捉えています。発行前に法務論点を確認し、後から説明しやすい制度にしておくことが重要だと考えています

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