← コラム一覧へ戻る
Insight 12 min read

法律業務でCodexを使う理由。Claude Codeとの違いとWord実務への入り方

こんにちは!Legal Agent 代表弁護士の朝戸です。

Legal Agentは、生成AI時代の法律事務所として、新しい時代の法務サービスを提供しています。

案件内容にもよりますが、Legal Agentでは、多くのご依頼について1営業日以内、場合によっては即日での納品を行っています。

従来の法律事務所では難しかったスピードを、どのように実現しているのかと、最近よく聞かれます。

私自身、本当にいろいろなツールを使って効率化を図っているのですが、ここ最近はCodexがかなり実務に合っていると感じています。

そこで今回は、法律事務所におけるCodex活用法について、実際の使い方に踏み込んで紹介したいと思います。

Codexはビジネス全般に使える作業アプリ

最近、Codexをかなり使っています。

Codexというと、「エンジニアがコードを書くためのツール」というイメージが強いと思います。

たしかに、もともとの使われ方としては、ソフトウェア開発が中心です。コードを書いてもらったり、バグを直してもらったり、テストを実行してもらったり、GitHubのIssueを読んで修正してもらったりする使い方は、かなり分かりやすいと思います。

ただ、実際に使っていると、Codexは、法律事務所の業務においても非常に有用なツールであると感じています。

私がCodexを使ってどのように法務業務を行っているのか、ここで紹介したいと思います。

Claude Codeとの違い

ビジネス用途でも、Claude Codeはかなり話題になっていると思います。

Claude Codeも素晴らしいツールなのですが、私は、現時点ではCodexの方が自分の業務に合っていると感じています。

私が一番大きいと感じているのは、UI/UXの分かりやすさです。

Claudeのアプリケーションとして見ると、Chat、Cowork、Codeのように複数の入口があり、それぞれの役割が少しずつ重なっています。エンジニアであれば使い分けを理解しながら触れると思いますが、私のような非エンジニアにとっては、「結局どこで何をすればよいのか」が分かりにくい面があります。

その点、Codexはかなりシンプルです。

とりあえずCodexに頼めば、ローカルフォルダの読み込み、必要なファイルの探索、Wordや資料の修正、調査、複数作業の並行処理まで、同じ場所から依頼できます。法律事務所のように、非エンジニアが使う場面を考えると、この「迷わず使える」ことはかなり重要です。

さらに、現時点の最新モデルであるGPT-5.5が非常に頭が良いと感じています。

Claude Opus 4.7も非常に良いモデルなのですが、私の使い方、特に日本語の法律業務や文書作成の場面では、GPT-5.5の方が検討の粒度や日本語の分かりやすさの面で使いやすいと感じています。

GPT-5.5は、従来のGPTモデルで気になっていた「日本語が少し分かりにくい」という点もかなり改善されており、法律業務でそのまま使いやすい日本語を出してくれる場面が増えました。さらに、Fast modeを使えば、私の体感ではClaudeと比べても大きく見劣りしないスピードで作業できます。

もう一つ、実務上大きいのが、利用上限の体感です。

もちろん利用上限はプランや時期、使い方によって変わりますが、少なくとも私の使い方では、Codexの方が長時間の作業を継続しやすいと感じています。テキストを大量に扱う法律業務では、ここもかなり重要です。

Codexは、法律業務の「作業環境」に入ってくる

法律業務で生成AIを使うとき、多くの人は、まずAIチャットを思い浮かべると思います。

典型的には、契約書の条文を貼り付け、質問を入力し、返ってきた回答を読んだうえで、Wordに戻して作業する流れになります。

もちろん、これだけでも便利です。

ただ、この使い方には限界があります。

法務の実務では、AIの回答を読むだけでは仕事は終わりません。

契約書のどこを修正し、変更履歴をどのように入れ、相手方に見せるコメントと社内向けに残すメモをどう分けるのか。さらに、過去案件と同じ判断をしてよいのか、他の案件と比べてどうなのか、今回の取引金額や相手方との関係を踏まえてどこまで交渉するのかも考える必要があります。

こうした判断と作業がセットになって、初めて法律業務になります。

Codexが面白いのは、単に質問に答えるだけではなく、作業環境そのものに入り込めるところです。

ローカルフォルダを読み、必要なファイルを自ら探し、コピーし、編集し、比較し、差分を確認しながら修正することができます。

「ファイル添付」「アップロード」という行為がなくなる

従来の生成AI利用では、弁護士やスタッフが、AIに読ませるファイルを選ぶ必要がありました。また、一般的なSaaSサービスはブラウザ上のアプリケーションであることが多いため、ファイルを選択してアップロードする行為が必要でした。

たとえば、今回の契約書、過去契約、議事録、規程、資本政策表などを、人間が一つ一つ選んで添付する必要があります。

一見すると普通の作業に見えますが、地味に重い作業です。

なぜなら、AIに何を読ませるべきかを判断するためには、人間が先にフォルダを探し、ファイル名を見て、過去案件を思い出し、最新版を確認し、今回の案件との関係を考える必要があるからです。

つまり、AIに資料を渡す前に、人間がかなり仕事をしているわけです。

Codexを使うと、この前提が変わります。

たとえば、次のように指示できます。

  • 過去に類似の案件があったと思うから探して
  • この案件に使えそうなベースのひな形を探して
  • この相手方と過去に締結した契約書がないか確認して
  • 同じような資金調達の案件で使った書面を探して
  • 候補になりそうなファイルを3つ出して、今回使うべきものを比較して
  • 今回用の作業ファイルとしてコピーして

このように指示するだけで、Codexはローカルのフォルダを横断的に検索して、適切な過去例や資料を参照してくれます。

AIにファイルを添付して読ませるのではなく、AIにフォルダを見に行かせ、「このファイルを読んで」と渡す代わりに、「必要なファイルを探して」と指示できるようになります。

法律事務所のフォルダには、過去の契約書、ひな形、コメント済みのWord、相手方から戻ってきた版、最終版、議事録、メール添付資料、メモ、デューデリジェンス資料などが大量にあります。

人間が毎回それを探して、AIに添付して、説明するのは非効率です。

Codexがフォルダを横断して読めるのであれば、「過去案件を探す」「ひな形を探す」「今回の作業ファイルを作る」という前工程をかなり減らせます。

Legal Agentでは、Wordを開きながらCodexに指示できるMCPを自作した

Legal Agentでは、Codexを法律業務に使うために、Wordを開きながらCodexに指示し、Wordを修正できる仕組みを自作しました。

契約書レビューでは、Word本文の内容を確認しつつ、変更履歴を入れ、相手方に見せるコメントを吹き出しで入れながら、社内向けのコメントは別に残し、相手方コメントへの返答も含めて、最後はクライアントや相手方に送れる状態まで整える必要があります。

ここで、Codexにも難点がありました。

Codexは、ローカルファイルを読んだり、テキストファイルを編集したり、複数ファイルを横断して作業したりすることはかなり得意です。

ただ、契約書レビューでは、既存のWord本文をなるべく崩さず、最小限の差分で直し、変更履歴を残したうえで、相手方に見せるコメントは吹き出しで入れ、社内向けコメントは外に出ない形で分ける必要があります。さらに、修正した箇所が、元の条項番号、インデント、表の構造とずれないようにすることも重要です。また、これらを、人間がWordファイルを開き、内容を確認しながら行う必要があります。

通常のCodexにWordファイルを触らせるだけだと、ここがうまくいかないことがありました。

変更履歴付きの最小差分修正が苦手だったり、Wordの構造を崩してしまったり、コメントの位置がずれたりします。また、修正するたびにWordを閉じて、もう一度開き直す必要があるなど、「あまり体験が良くないなあ」と思っていました。

そこで、Legal Agentでは、この部分を解消するためのMCPを自作しました。

Wordを開いたままCodexからWordを操作できるようにし、本文、変更履歴、コメントを扱えるようにすることで、弁護士が実際に見ているWordファイルに必要な修正を入れられるようにしました。

このMCPを入れたことで、体験はかなり変わりました。

Codexが単に「このように修正してください」と回答するだけでなく、Word上に実際に修正を入れるため、弁護士はそのWordを見ながら、「このコメントは相手方には強すぎるから少し落として」「この修正はやめて、代わりに別案にして」といった追加指示を出せます。複数ファイルを同時に修正することもできます。

この形になると、Codexは、法律相談に答えるチャットというよりも、アクセス権限のあるフォルダ内の資料を横断的に参照しながら、Word上の本文、変更履歴、コメントまで扱える作業環境に近づきます。

比較版を作成するMCPも作った

企業法務の現場では、Wordの比較機能を用いて比較版を作成する必要があります。

このWordの比較機能が、なかなか使いにくいです。毎回フォルダを選択して、対象となるWordファイルを人間が特定して選択しなければならないのですが、これも地味に重い作業です。

また、比較版を作成すべきファイルが一つであれば何とか自分でできますが、たとえば10個のファイルについて同時に比較版を作成する状況になると、「もうめんどくさい、、、」という感じになります。

Legal Agentでは、比較版についても自動で作成するMCPを自作しました。

Codexに、「修正箇所を確認したいから比較版を作成しておいて」と指示するだけで、Codex自身が、どのファイルとどのファイルを比較すべきかを検討して、自ら比較版を作成してくれます。

このような機能をCodexに持たせたことも、私の業務が非常に楽になった要素です。

具体例:契約レビュー

たとえば、クライアントから業務委託契約書のレビュー依頼が来たとします。

従来の流れでは、まず弁護士やスタッフがメールやチャットから契約書を保存し、過去に同じような契約書をレビューした案件がないかを探します。必要に応じて、ひな形フォルダから近いものを探し、過去コメント、相手方との関係も確認します。

その上で、Wordを開いてレビューします。自ら修正を行い、コメントを付し、修正履歴がおかしくならないように慎重に修正していきます。手作業でやるので、当然タイポが生じる可能性もあります。条文番号が一つずれるだけで、すべてのリファレンスを確認する必要が生じます。

これらの工程は、かなり時間がかかります。

Codexを使うと、最初の指示は次のようになります。

「受託者側の業務委託契約レビューの依頼を受けた。クライアントとのやり取りや、過去の類似案件、適切なベースひな形を探したうえで、必要な修正を行って。チェックリストがスキル化されているから、それも参照して。」

この指示で、Codexは、まずフォルダを見に行きます。

Codexは、過去案件やひな形を探し、今回の契約書を読んで差分を確認したうえで、レビュー方針、Wordへの変更、コメント、確認事項のたたき台まで作ります。

もちろん、弁護士は最後に確認します。

ただ、弁護士が最初からファイル探し、コピー、条項比較、初稿コメント作成に時間を使う必要はかなり減ります。

弁護士は、会社の事業背景、リスク許容度、相手方との関係、交渉上の落としどころを見ることに時間を使えます。

ここが、AIと弁護士を組み合わせる意味だと考えています。

具体例:法務DD

法務DDでも、Codexは非常に有用です。

法務DDでは、資料が大量にあります。

登記簿、株主名簿、株主総会議事録、取締役会議事録、投資契約書、株主間契約書、ストックオプション関連資料、主要契約、利用規約、プライバシーポリシー、労務資料、知的財産関連資料などです。

従来は、人間が資料を開き、確認し、イシューを拾い、質問事項を作っていました。

また、既存の法務DD効率化サービスは、基本的に「ファイルのアップロード」が前提となっています。しかし、日々新しい資料が更新される現場で、逐一ファイルをアップロードすること自体が手間なので、「もういいや。自分でやった方が良い」となってしまうことがあります。

Codexを使うと、まずそもそも、「ファイルをアップロードする」という行為それ自体が不要になります。指定するのは、開示資料等が含まれているフォルダそのものです。

指定フォルダ全体を見ながら、まず資料の一覧を作れます。

足りない資料を出し、各資料の重要箇所を読み、過去のひな形レポートやDD案件を探したうえで、今回のイシューリスト、質問事項、ドラフトレポートのたたき台を作るところまで進められます。

ちなみに、Legal Agentでは、Wordだけではなく、Excelを修正できるMCPも自作したため、追加質問事項の作成もCodexで行えます。

具体例:法務相談

法務相談でも同じです。

たとえば、事業部から「このキャンペーンをやってよいか」「この広告表現は大丈夫か」「この取引先にこの条件を提示してよいか」と相談が来ます。

このとき、弁護士は、単に法律だけを見ているわけではありません。

過去に似た相談がなかったか、社内でどのように判断していたか、利用規約やプライバシーポリシーとの関係はどうか、過去に事業部へどう説明したか、経営判断に上げたことがあるか、といった点を確認しています。

こうした情報を見た上で回答しています。

Codexに、「過去に似た相談があるか探して」「この相談に関係しそうな過去メモを探して」「今回の回答案を作って」と指示できると、回答の質と速度が変わります。

また、Legal Agentでは、事務所内で参照できる書籍、条文、ガイドライン等を、適法に利用できる範囲でデータ化し、AIが検索できる形にしています。

法務リサーチそれ自体も、Codexに依頼することで、根拠資料を確認しながら進めやすくなります。

一般的な書籍検索サービスでは、条文やガイドライン、書籍のみがリサーチ対象となり、しかも、リサーチするためには、その書籍検索サービスにログインして、ユーザーが質問をもう一度作り、回答を得て、その回答をさらにコピーする、といった作業の分断が生じます。

Codex上で法務業務を行うことにより、この分断をかなり減らせます。一つの作業環境の中でリサーチを行い、その流れのまま成果物の修正や作成まで進められるのは、かなり大きいと感じています。

ただし、弁護士の判断は残る

ここまで書くと、Codexがあれば弁護士はいらないのか、という話に見えるかもしれません。

私は、そうは考えていません。

むしろ、Codexを使うほど、弁護士の判断の重要性は残ると思っています。

AIは、過去案件やひな形を探したり、条項を比較したり、Wordに変更履歴を入れたり、コメント案を作ったりすることができます。

ただ、会社としてどのリスクを取るのか、相手方との関係上どこまで交渉するのか、今回の案件で本当に問題にすべき条項はどれか、経営判断に上げるべきか、あえてコメントしない方がよい論点はどれか、といった部分は別です。

ここは、弁護士が見るべき領域です。

Codexは、弁護士の代わりに最終判断をするものではありません。

Codexは、弁護士が判断に集中するために、資料を探し、作業を進め、成果物のたたき台を作る存在だと考えています。

法律事務所のオペレーションが変わる

Codexを法律業務に使うと、法律事務所のオペレーション自体が変わります。

これまでの法律事務所では、若手弁護士やスタッフが、過去案件を探し、ひな形を探し、初稿を作り、上位者がレビューする流れが多かったと思います。

もちろん、この流れには教育上の意味があります。

ただ、すべての案件で、人間が毎回同じようにファイルを探し、コピーし、条項比較をしているのであれば、そこは変えてよいと思っています。

Codexが過去案件やひな形を探し、候補を出して作業ファイルを作り、弁護士はその候補が本当に適切かを判断したうえで、必要な修正方針を決める。

この形になると、法律事務所は、単に人手を増やすだけではなく、AIを前提にした業務基盤を作る方向に進みます。

私は、これがAI Nativeな法律事務所の一つの姿だと考えています。

Legal Agentが目指していること

Legal Agentでは、AI Agentと弁護士の協働により、契約レビュー、法務相談、資金調達、企業買収・合併、デューデリジェンス、法務アウトソーシングの常識を変え、クライアントの成長に本当に寄与できるAI Nativeな法律事務所を作っていきたいと考えています。

今後も、より良い法務サービスをクライアントの皆様に提供できるよう、取り組んでいきます。

参考にした公開情報

他の記事を見る お問い合わせ